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未来をつくる力」 森田ゆう奈  「やっぱり紙がすき!」宮原三峡子  「めでる」花井敏夫



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えぽっく82号 テキスト表示

井上洋介漫画集 ナンセンス展 井上洋介漫画 草森紳一エッセイ 和田誠構成思潮社 初 背ヤケ 裏表紙少汚れ 昭41 1冊 6,500円
健康の海!!沼津へ -ポスター- 国鉄熱海営業所 沼津市 沼津芦川印刷所 75×52糎 イタミ折り目有 昭 1枚 4,000円
鎌倉江の島名勝十六景絵葉書 袋付 袋少イタミ 16枚 2,500円
南洋ポナペ島絵葉書 ポナペ二葉屋 袋付 袋シミ破れ 11枚 4,800円
叡山ケーブルカー京都口絵はがき 叡山鋼☆鉄道 袋付 袋に印有 袋破れ 8枚 3,500円
北海道統計一覧 -昭和八年版- 北海道庁 54.5×79糎 北海道全図 少シミ 昭8 1枚 5,000円
京急全駅入場券集 -創立九十周年記念- 京浜急行電鉄 限 73枚入 袋イタミ 昭63 1冊 15,000円
土方巽 DANCE EXPERIENCEの会 -土方巽氏におくる細江英公写真集- 三島由紀夫 金森馨 大野一雄他 24×25糎 刊年不詳 表紙右上部折れ跡 裏表紙少汚れ 1冊 20,000円
三木辰夫エッチング「日本橋」「熱海観光ホテル」 エッチング工房 熱海観光ホテル=90×117mm 日本橋=89×135mm 昭23 2枚 8,500円
太平双六 帯封付 約36×54糎 作者発行元刊行年不明 1枚 3,000円
改正 成田山全図 三橋吉兵衛画作兼発行 16版 47×64糎 少イタミ 明31 1枚 5,000円
箱根と伊豆 -新編登山地図帳- 中野敬次郎 山と渓谷社 初 表紙少汚れ・少イタミ 裏表紙少イタミ 背イタミ 書込・赤線引有 昭25 1冊 3,500円
手摺木版 札幌風景絵ハガキ 1輯 札幌観光協会 袋付 袋少イタミ 3枚 4,500円
舳倉島七ツ島と海女 輪島市観光協会 袋付 5枚 3,000円
清水静岡名所案内 吉田初三郎 弘益社 初 清水静岡名所交通鳥瞰図17.5×75.5糎 少破れ 裏面少汚れ 昭3 1枚 4,500円
森の人形館 -カメラ毎日別冊 PRIVATE3- 沢渡朔 毎日新聞社 初 筆ペン献呈署名入 シミ 表紙・背少イタミ 裏見返し少汚れ 昭48 1冊 8,500円
郷土の光 17集 10図揃 川崎末吉編刊 初 20×13糎 饅頭喰人形・三宝荒神の土鶏・酒中花・洲崎神社五色鈴・浪花踊の人形・まさる・子貰人形・大原女人形・牛御前の土牛・桜天神の土鶯 袋付 シミ 袋少イタミ 昭3 21枚 9,500円
郷土の光 18集 10図揃 川崎末吉編刊 初 20×13糎 奈良人形・栄國寺の臥牛・気比神宮の桃太郎・祇園祭の鉾・都踊の提灯・御来迎・有卦人形・小芥子這子・鞍馬の虎・伏見の人魚 袋付 シミ 袋少イタミ 昭3 21枚 9,500円
総合諷刺雑紙 VAN 2巻9号 横井福次郎 村山しげる 北鬼助他 イヴニング・スター社 初 ヤケ 少シミ 裏表紙少イタミ 背イタミ 昭22 1冊 4,000円
スポーツ・クラブ 1巻2号 -特集 水上日本の精鋭- 辰野隆 富永正信他 イースタン・ライト社 初 古橋廣之進表紙 特別読物=オリンピック夜話 シミ 表紙・背少イタミ 昭23 1冊 3,000円
喜之助人形 徳川夢声 安藤鶴夫 岩田藤七他 竹田人形座 限 糸あやつり人形 非売品 シミ 表紙少キズ 昭36 1冊 5,000円
義経の周囲 大佛次郎 朝日新聞社 限550 帙 筒函 毛筆署名入 筒函少汚れ 昭42 1冊 6,500円
銘酒 いとう鶴 -優等賞受領- ポスター いとう鶴本家吟醸(中央線武並駅) 79×53糎 シミイタミ有 1枚 5,000円
大銘酒 いとう鶴 -第九回中部六県酒類品評会特選賞受領- ポスター いとう鶴本家吟醸(中央線武並駅) 77×35糎 シミイタミ有 1枚 4,000円
紀元二千六百年記念駅印 大軌参急電鉄 土佐商船他関西中国四国方面 ハガキ大用紙に押印  90枚 15,000円
南洋航路案内 昭和8年5月 大阪商船 初 22.5×60糎 少汚れ 少破れ 昭7 1枚 3,000円
鉄道案内図 日本地図 初 18.5×107糎 少シミ 少汚れ 昭20 1枚 2,500円
多摩川園のつゝじ人形 読売新聞社 初 小冊子 22頁 22×15糎 チラシ入 表紙日付記入 少ヤケ 昭 1冊 4,500円
郷土芸能(昭和28・29・31・32年)・民俗芸能(昭和34年) 日本青年館 初 芸術祭主催公演パンフレット ヤケ 少シミ 表紙書込有 昭28 5冊 5,000円
川上澄生彩色木版画 野球大会(仮題) 22×28糎 額入 昭 1面 30,000円
営業案内 遊覧とピクニック 関東自動車株式会社 18×63糎六折 刊年不明 1冊 2,500円
川久保玲とコムデギャルソン ディヤン・スジック 生駒芳子訳 マガジンハウス 初 カバー 少ヤケ 平3 1冊 10,000円
資生堂ギャラリー75年史 1919-1994 富山秀男監修 資生堂企業文化部企画編 資生堂 求龍堂発売 初 カバー函帯 カバー少ヤケ カバー背・帯・函題箋少シミ 平7 1冊 6,000円
中央区沿革図集 -京橋篇- 東京都中央区立京橋図書館編刊 初 函 武州豊嶋郡江戸庄図 関東大震災関係図 帝都復興事業による変化他 背ヤケ 平8 1冊 7,000円
 


めでる

 ご両親に手を引かれて入学式に向かう姿を多く見かけました。新年度スタートを実感するとともに桜が咲き乱れ、まさにご入学、ご進学、社会人スタートを祝っていました。満開の桜を愛でリフレッシュ、パワーアップされた方も多いことと推察いたします。
 桜並木や桜の名所はその多くが江戸時代へタイムスリップする場所でもあるようです。古事記や日本書紀にも桜にかかわる記述があり、古来から好まれた「花」であったのですが、江戸時代には誰もが愉しむ「花」となり、春を告げる花となったようです。お花見が庶民的イベントとなった江戸の文化は意外と身近な存在なのですね。当店で江戸東京関連の本がよく売れるのも無関係ではないのでしょう。
 徳川家康に重用され江戸城近くに居を構えた「ヤン・ヨーステン」が八重洲の地名の由来ですが、この八重洲も話題満載?と言ったところでしょうか。東京駅八重洲口駅舎の新装が進む今日、大きく変身する新年度でもあります。先日オープンした「東京おかしランド」はキャラクターストリート、東京ラーメンストリートとともに注目されています。東京スカイツリー行きの直行バスも八重洲南口から運行されます。大丸東京店は秋の増床オープン目指して熱が入っています。東京駅丸の内駅舎復元、東京駅ステーションギャラリーの再開、東京駅ステーションホテルの再開(10.3)など東京駅の話題も続きます。
 日本橋、京橋、銀座ではビル建設が活発で、常磐線の東京駅延伸工事も進み、数年後には八重洲口も様変わりすることでしょう。R.S.Books工房はますます異空間として注目されるのか、はたまた、喧噪の街中の駆け込み寺のごとく静寂な空間として目立たぬ存在でいるのか。
 時代の流れと逆行するのでしょうが、紙や活字を愛で五官で触れ五感を研ぎすませる、そう、書物たちだからできることがあると確信していますし、役立ててほしいと思っています。その出逢いの場所が工房でありますように。
 賑わいは出逢いのチャンスを増やしてくれることでしょう。このゴールデンウイークも八重洲口の賑わいが予想されていますので、古書店を利用したことのない皆さまにもアピールしたくて、「やっぱり紙が好き!」をテーマに普段と違う切り口で書物たちをご紹介していきます。お近くにお出掛けの際にはぜひお立ち寄りください。
 八重洲古書館、R.S.Booksは年中無休で営業、1冊から買取もしております。もちろん、出張買取も承りますのでお気軽にご相談ください。
 スタッフ一同皆さまのご来店をお待ち申しあげます。
金井書店 花井敏夫


「未来をつくる力」

東日本大震災から、早いもので1年と2ヶ月が経とうとしています。ちょうど1年目の311日には、震災が起きたのと同時刻の午後246分に、八重洲地下街では被災地を想って1分間の黙祷が捧げられました。通路を行き交う方々が足を止めて目を瞑る姿を見ると、一見普段と同じ生活が戻ってきたようでも、以前とは違うということに改めて気づかされます。日本中の人々がそれぞれの場所で、1年前のあの日を振り返ったことでしょう。私にとっても、毎日の生活の中で自分なりに何ができるのかを、もう一度考えさせられる出来事になりました。インターネット上でも黙祷をしようという動きがあったようです。ツイッターでは黙って目を閉じる代わりに1分間投稿をやめる、もしくは「黙祷」と言葉で表現する人などがいました。賛否両論あったようですが、これも一つの新しい表現の方法なのでしょうか。

確かに、手軽さや物理的な距離を飛び越えられる点で、インターネットは大変便利です。例えばツイッターでは気軽に情報を発信、もしくは手に入れることができます。またフェイスブックを使えば世界中の人と繋がることが可能です。そしてスカイプでは、相手の顔を見ながらリアルタイムで話すことができます。このようにオンライン上であれば、たくさんの情報を簡単にすばやく手に入れることができます。しかし、労力をできるだけ省いて結果を手に入れるという便利さに対して、自分の体を使って奮闘し、迷いながら試行錯誤した場合には、手に入れたものにより強い実感を持つことができるのではないでしょうか。デジタルとリアルの世界に対してどのように関わっていくか、これからさまざまな場面で問われていくことになるでしょう。

本の世界でも、近年電子書籍化が進んでいます。図書館では国立国会図書館や東京都千代田区立図書館に加え、今年に入ってから大阪市立図書館が本館分館を合わせた全24館で電子書籍サービスの提供を開始したようです。スマートフォンへの対応も進んでいるので、今後ますます広まっていくことでしょう。軽量化やスペースの問題などで便利だと思う一方、本を手に持つ喜びや自分の読みたいページを探すどきどき感など、手間を楽しみと捉えると、電子書籍では物足りない面もあるように思います。特に古本の場合は、時代の経過や、人の手を渡ってきたことがわかる痕跡を見て想像を巡らせることが興味深かったりするものです。それはデジタルには存在しないものですね。どれだけ便利な世の中になっても、自分の感覚を使って物事を味わうことを大切にしたいものです。

震災の話に戻りますが、ニュースで被災地の様子が流れる度に、実際に起こっていることとは信じがたい光景がたくさん目に映り、私の中で、「一体何が起きていて、今何をするべきなのだろうか」という気持ちが膨らんでいきました。そこで、写真や動画ではなく実際に自分の目で確かめたい、そして少しでも現地の方の役に立つことができればという気持ちで、昨年の7月に宮城県の七ヶ浜という所にボランティアに行きました。七ヶ浜は日本三景の松島の一部を成し、高山外国人避暑地がある風光明媚な場所として知られています。しかし今回の震災による津波の影響で、海の近くの低い場所は建物が流されて基礎だけが残り、まだ瓦礫もところどころに残っている状態になっていました。整備は少しずつ進んでいるものの、まだ震災の爪痕が残っている印象です。例えば、海沿いの大きな道路をバスで走っている途中で目にしたのは、倉庫のような建物の上に漁船が乗り上げている光景でした。当時の状況を象徴するものとして、よく報道に出ていたそうです。同じツアーに参加した方々も、それを見て、言葉にならないといった雰囲気でした。20代の私と同世代の参加者から、上は70代の方までさまざまな方がいましたが、話をしてみると、阪神大震災の時に助けてもらったからという方や、職場でたくさんの支援を目にしたのがきっかけで個人的にも何かしたくなったという方など、それぞれがさまざまな想いを抱えて参加していたようです。ボランティアセンターには、他にも自治体や企業などから団体で来ている方、個人で参加している方、海外からの支援者などいろいろな方が集まっていました。   

見学をし、挨拶が済んだ後はさっそく作業です。私達の仕事は主に瓦礫の撤去でしたが、津波で流されたため作業場所に日陰がなく、水分補給のために持っていったペットボトルの中身がすぐに熱くなってしまうほどの猛暑の中での作業となりました。倒れないようにこまめに休憩をとりつつ、みんなで協力して汗と泥にまみれながら体を動かした記憶が、今も鮮明に残っています。作業場所は海の近くだったのですが、その日は夏らしくとても天気のいい日で、あのような出来事のあとでも、青い空の下に青い海が広がっている光景がとても美しかったのが印象的でした。またもう一つ印象的だったのが、センターに戻った後に見た、瓦礫の中から見つかった写真や持ち物などが、ずらりと並べられて持ち主が現れるのを待っている光景です。それぞれのものが、まるで持ち主の記憶を私達見る側に語りかけているかのようでした。

また、外から来た私達を案内してくれた方を始め、センターの方々はとてもきびきびとしていて、私達の体調面を気にかけてくださるなどの配慮をしてくださいました。このような現実の中にありながら、少しでも状況を良くしていこうとする前向きな姿勢に心を打たれました。もちろんまだまだやらなければいけないことはたくさんあり、全ての方が元気を取り戻しているわけではないのでしょう。しかし、前向きな努力があれば、きっと復興への道のりも開けていくのではないかという気持ちになりました。ボランティアに参加したことで、ニュースを見ているだけではわからなかったことを知ることができ、出会えなかった方々と会うことができました。小さなことかもしれませんが、今回の体験を通じてこのような実感が持てたことで、七ヶ浜で過ごした3日間は、私にとってとても貴重な経験になったのです。

この体験の中で、私は大変な現実を目の当たりにしましたが、同時にたくさんの希望の持てる光景にも出会いました。やはり人の持つ前向きな力がなければ、現実をたくましく乗り越えることは難しいのではないでしょうか。前向きな力は、明るい未来を思い描くことから生まれます。想像力を失わないこと、それがこれからの時代にも必要なのではないかと思います。

八重洲古書館 森田ゆう奈


やっぱり紙が好き!                              

2012年4月28日(土)〜5月6日(日)の9日間、八重洲古書館とR.S.Booksでは合同企画『GWスペシャル!“古本の旅”2012やっぱり紙が好き!』を開催することにいたしました。そこで今回は私自身の紙に対する気持ちをつづってみようと思います。
 何をするわけでもなくただ本屋へ行き、いくつか気になった本を手にとってそのうちの一、二冊を買う。という行為が好きになった初めの頃、本を手にする私の判断基準はいつもその装幀でした。そうして、あまりおもしろくなかったなとか、これは結構よかった!なんて思っているうちに、著者で買ったり古本屋で買ってみたりなどして至る現在。なのですが、手にして近くで見て初めて、その装幀の意匠に気付き感動するということは今でもあります。それはカバーや帯の素材感であったり、印刷された文字、その配列、インクの色合いなどさまざまです。限定本ならではの凝った装幀(革張りの函、銅版画の挿絵、宝石の埋め込まれた表紙!)に圧倒されるということもありますが、シンプルで清冽なこだわりに感じ入ってしまうことも。この感動は数百年前の和本でも、今日発売の新刊本でも変わりません。

出版社によって、あるいは一つの出版社の中でも刊行しているシリーズごとに、装幀を統一しているものがあります。単行本を始め、新書や文庫などではより分かりやすく統一されていますよね。中でも「紙の魅力」という点において私がイチ押しするのは、みすず書房です。白と黒を基調とした、みすず書房特有の装幀はゲーテ『色彩論』に触発されて生まれたそうです。そして私自身、手にするたびに思わず見入ってしまうのは、何よりもその扉に印刷された書名と「みすず書房」の文字でした。この文字にある、活版印刷特有のインク感(とでも言うのでしょうか)には度々ため息を漏らします。少し調べてみたところ、実はこの書名を印刷しているインクはあらかじめその色があるわけではなく、色見本に従って職人さんがインクを練り合わせて作り出しているのだそうです。また現在、活版組版ができなくなったためオフセット印刷に移行したものの、社名の文字は活字で組んだものの清刷(きよずり)をとり、それをスキャンした画像を用いているのだとか。もちろん、手にした時にそこまで分かるはずはありません。読み取る必要だって、もしかすればないのかもしれません。それでもこのこだわりはきっと、説明の言葉などをスッパリと取り払った「質感」として受け手へ伝わるのだと思うのです。

紙の本と電子書籍との関係は、しばしば敵同士のように語られます。また現実として、両者の売上が反比例していく可能性はあります。しかしこうした対立的な切り口だけでは、どちらのことも正確に捉えることなどできないのではないでしょうか。

数年前のある秋の日、都内の河川敷で蚤の市が開催されました。そこでレターセットを買った私は、誰かに手紙を書きたくなり、こういうときはやはり親だろうと母へ宛てて送りました。内容はなんでもない、日々の徒然といったもの。そしてその数日後、母から私へ「手紙読んだよ。珍しいね、ありがとう!」という内容のメールが携帯電話へ(それも絵文字付きで)届いたのです。まさかメールで返事が来るとは思ってもみなかった私は、母のアクションに驚き、笑ってしまいました。しかし同時に、こうして手紙でもメールでも思いを伝えられる現代のあたたかさを感じたのです。私は必ずしも電子端末が「冷たい」とは思いません。それぞれにそれぞれの良さがある。選ぶことのできる幸せを感じながら、頁に乗せられたインクをなぞったり、携帯電話の画面をスクロールしたり。頁や画面の向こう側にある心を汲もうと、今日も私の指は大忙しです。

R.S.Books 井神沙恵